日本国内に現存する奈良時代の畳は東大寺正倉院に保管されている畳

畳の材料は、芯となる畳床と畳床を覆う畳表及び裁断面を綺麗に仕上げる畳縁の3種類の部位で構成され、日本国内に現存する畳は奈良県の東大寺正倉院に保管されている奈良時代の畳です。

 

正倉院について – 宮内庁

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Home/About/History

 

 

奈良時代の畳床は、ハナガツミとも呼ばれる真菰で編んだゴザが5枚〜6枚重ねられている非常に薄いものでしたが、現在では裏ゴモ及び助配から大手配や化粧配まで約40cm程度稲藁を何層にも積み上げて約5cm程度まで圧縮された物が使われています。しかし、軽量化とコストダウンを図る為にポリスチレンフォームの上下を稲藁で挟み込むスタイロ床に加え、破砕された木材を圧縮加工されたオールボードとも呼ばれるインシュレンボードなどの建材床も使用されています。

円座

畳表は、綿糸や麻糸を経糸にしてイグサを織り込んで制作された色鮮やかだ肌触りの良いものであり、イグサの等級や縦横糸間面積によって耐久性や品質に大きな違いがあります。縦横糸間面積は、一般的に8.0㎠以下が茶室や寺院に使用される最高級とされ、縦横糸間面積が12.0㎠以下は公団や集合住宅などに普及型として用いられています。イグサには、三級品から特級品の4段階があり、92w1枚の重量が28.8kg以上が特級品とされる一方で23.7kg以下は三級品です。

イグサは、広島県や大分県などの全国15の産地に加え中国産などの輸入物が使用され、木質繊維とポリプロピレン素材を融合させた工業表も市販化されています。イグサは、変色し難く耐久性に優れている備後表と呼ばれる広島県産が最高級品とされ、肥後表と呼ばれる熊本県産が国内シェアの約90%を占めています。畳縁は、麻糸を使用した麻縁が最も高級とされていますが、現在では綿糸よりも安価な化学繊維が主流となっているのが現状です。

座布団

畳縁は、朝鮮より伝来した繧繝錦に起源があるとされ、高麗縁は寺院に用いられると共に繧繝縁は神社に用いられています。しかし、現代では伝統的な文様だけで無くアニメのキャラクターや無地など奇抜な畳縁も数多くあります。