畳の材料もいろいろ

古代から中世にかけて生活にかかわる多くのものや技術が、大陸から日本に伝来してきました。そんな中で畳は日本人が独自に生み出した、生活用品といえます。畳とはそもそもたたむを意味する言葉で、平安時代以前は敷物すべてを指していったと伝えられています。現在の畳の材料は畳の中心となる畳床・畳表・畳縁で出来上がっています。

畳の芯材

畳表は畳床に敷いてあるイグサで編んだ、茣蓙のことです。イグサでできているものが一般的になっていて、その色合いや香りは日本らしさを象徴しています。イグサには昔から人々の体と心をいやしてくれる、さまざまな効果が認められてきました。たとえば平安時代に記されたといわれるわが国最古の医書、医心方にはイグサが薬草として記載されています。その効用はすりおろして煎じて飲んだり、焼いて灰になったものを飲むことで、炎症を抑えたりのどの疾患に効くというものです。このような抗菌作用は、現代医学でも認められておりさらに畳には、リラックス効果などがあるといわれています。

イグサの場合はイグサを横糸に、糸を縦糸にして機械で織りますが縦糸の使われ方で、畳表の等級がいくつかに分類されています。

Green 2

畳床に張り付けた畳表の端っこを覆って、保護したり補強したりしているのが畳縁になります。材料には麻や絹、化繊や木綿などがあり昔は身分によって、畳縁の色や柄などが決められていたのです。代表的な種類には、お寺や御殿で使われている白地に大小の紋が織り込んである高麗縁。紺色や茶色が多く、麻の細糸で織られている高宮縁。戦前によくつかわれた材料で糊付け加工した麻糸を使い、光沢に富んでいるのが特徴の松井田縁。細いマニラ糸で織られ実用品として最も多く一般に出回っている、光輝縁があります。畳はこれらの畳床・畳表・畳縁を縫い合わせて作られ、自分の好みで縁の柄も選ぶことが可能です。部屋の雰囲気に合わせて畳縁の色も変えてみるのも、面白いことでしょう。